先日、Vim のプラグインマネージャである dein.vim に、プラグインの更新チェックを劇的に高速にする変更が取り込まれた。使うには設定が必要なので、その方法を紹介する。
dein.vim を最新版にする
言うまでもないが、まずは dein.vim を最新版にする。
:call dein#update('dein.vim')
GitHub の Personal Access Token を生成する
この機能を使うには、GitHub の Personal Access Token を用意する必要がある。
https://github.com/settings/tokens
GitHub にログインして上記のページにアクセスし、Generate new token
を押す。token の用途がわかりやすいように名前を付け、Generate token
を押す。追加の権限は必要ない。生成された token をなくさないようにメモし(ページ遷移すると二度と見れないので注意。メモし忘れた場合は再生成する)、vimrc に以下のように設定する。
let g:dein#install_github_api_token = 'your token'
your token
のところに生成した token を書く。言うまでもないが、この token は人に知られてはまずいものなので、vimrc を公開しているのであれば別のファイルに分離するなどの工夫が必要だ。
更新方法を変更する
通常、プラグインの更新には dein#update()
を使っていたと思うが、新しい方法では dein#check_update()
の第1引数に TRUE な値を渡すことで行う。
call dein#check_update(v:true)
特定のプラグインだけ更新したい場合はプラグインの一覧を第2引数に渡す。
call dein#check_update(v:true, ['dein.vim'])
プラグインを100個単位で入れていたとしても、あっという間に更新のチェックが終わる。
仕組み
ここからはオマケで、高速化の仕組みについて。
Vim のプラグインはそのほとんどが GitHub 上で公開されている。今までは、プラグインの新しいバージョンが公開されているかどうかを、リポジトリ 1 つずつチェックしていた。当然 1 件ずつ通信を行うため、プラグインを100個も200個も入れていると、とても時間がかかる。
新しい方法では、GitHub の GraphQL API を使い、リポジトリを 100 件単位で更新があるかどうかをチェックする。このために Personal Access Token が必要になる。
GitHub の REST API では 1 度のリクエストでアクセスできるリポジトリは 1 つだけになってしまうが、GraphQL API であれば 1 度の API リクエストで 100 件のプラグインのチェックができるため、更新されたプラグインがなければ非常に高速にチェックが終了する、というわけだ。
この手法については私が雑談レベルで提案していたものだが、今回 Shougo さんがものすごい速さで実装してくれた。ありがとうございます!
更にオマケ: 別の高速化の話
プラグインマネージャは更新処理の際、「今ローカルにインストールされているプラグインのバージョン(Git のコミット)はいくつか」を知る必要があるが、Windows では Linux などに比べると外部プロセスの起動が非常に遅く、リポジトリ毎に git
コマンドを実行するだけでも数が多いとかなり時間がかかっていた。
別のプラグインマネージャである minpac ではこの問題を改善するために、「Git のコミットを得るために git
コマンドを実行せずに直接 .git/
ディレクトリ内のファイルを読む」という手法を採用していたが、このたびこの方法が dein.vim にも取り込まれた。
よって特に Windows ユーザーは以前に比べて更に高速になっている。
なお、こちらの変更は特に設定をしなくても恩恵を受けられる。